「 日曜日の朝 」











  「いったい何故、男と女はセックスをするのだろう?」
 
  その日の朝、僕は人生の深い命題にぶち当たっていた。
 
  世の中には男と女がいて、皆、それぞれに性交を交わし、子供を作る。男は女の顔やら胸やらお尻やら脚やらを見ては、性的興奮を覚え、女もまた、そんな男の生理をちゃんと理解していて、顔やら胸やらお尻やら脚やらを、必要以上に露出して異性に対して性的アピールを果敢に繰り広げる。そして、それぞれに気の合った男と女はベッドインして、性的快感を楽しみながら子供を作る。更に、性交と子育てをくり返しては子孫繁栄に努める。そうして人類は、この地球という星で生き延びてきた。

  ( うーん、果たして本当にそうなのだろうか? ) ブツブツ。

( 皆、本当に子供が欲しくてセックスをしているのだろうか?それとも本当はただ快楽を求めてきた結果、人類はこの地球上に溢れているだけなのではないだろうか? ) ブツブツ。

  キリスト教では子作り以外のセックスは、姦淫と呼んで堅く禁止しているが、クリスチャンは本当にその戒律を守っているのだろうか。一方、ヒンズー教ではセックスによるエクスタシーの瞬間に、解脱に至る事が出来る、とも云われている。

  ( うーん、考えれば考える程、謎だ ) ブツブツ。

  等と真剣に考えていると、先に起きて朝食を作っていた妻が寝室に入ってきて、
  「あなた、起きてるんならさっさと顔でも洗って朝ごはん食べちゃってくれる?寝室だって掃除したいんだし、いつまでも片付かないじゃない」と言った。僕は、
  「いや、今すごく真面目な考え事をしていたんだよ」
  「どうせ、いつものようにくだらないこと事でしょ」
  「いや、そんなことは無い。とても大切な事なんだよ」
  「いったい何を考えていたっていうのよ?」
  「うん、『男女のセックスと子孫繁栄』についてだ」
  「なに、日曜の朝からバカな事言ってんのよ」
  「いや、これはとても大切な事だよ」
  「確かに大切な事かもしれないけど、そんな事あなたが日曜の朝から考える事でも無いでしょう。そんな事は聖職者か生物学者にでも考えさせておけば良いのよ。そんな事よりもあなたはさっさと朝ごはん食べちゃって頂戴」

  ( そりゃ、食べるけどさ。お前だっていい年してkinki kidsのコンサートとか行ってるくせして ) ブツブツ。

  「えっ、何か言った?」
  「いいえ!何も言ってません!!」

  妻が寝室を出て行くと僕はベッドの上で、グィーン、と猫の伸びのポーズをしてからベッドを飛び出した。それから僕はパジャマを脱いで、シャワーを浴びる事にした。

  しかし確かに妻の言う通り、僕はいったい何故、日曜日の朝から「男女のセックスと子孫繁栄」についてなんて考えていたんだろう?僕はシャワーを浴びながら考えた。

  メリットシャンプーで頭を洗い( 妻のダヴ・シャンプーを使うと妻に怒られるのだ )、ボディソープ植物物語をタオルに付け( 妻のダヴ・ボディソープも使うと妻に怒られるのだ )、上半身を洗い、下半身を洗い、男性器を洗っている時に、はっと思い出した。

  そうだ、今日、朝起きたら珍しくおちんちんが朝立ちしてたんだ。それで、何でおちんちんは硬くなるのだろう?と思った事から「男女のセックス」にいき、話が飛躍して「子孫繁栄」になったんだ。それだけ思い出したら僕はすっきりして、
  「なあ!僕が何で日曜日の朝から『男女のセックス』と『子孫繁栄』について考えてたのか、思い出したよ!!」と浴室の扉を開け、妻に向かって大きな声で話しかけた。
  すると妻に、
  「もう!そんなのどうだっていいのよ!!そんな事よりさっさと朝ごはん食べちゃってよ!私これから出掛けるんだから!!」と怒鳴り返された。

   ふん、お前だっていい年してこれからkinki kidsのコンサートに行くくせして ) ブツブツ。

  「ええっ、何か言った?」
  「いいえ!何も言ってません!!」

  どうせ妻には何を言っても無駄なのだ。