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「 ボクのオジサン 」 ボクの頭の中にはピンク色の象が住んでいる。いつの間にかに勝手に住み着いている;のだ。 このピンクの象はボクの夢を食べちゃう。 左の鼻の穴からはヨイ夢、右の鼻の穴からはワルイ夢、という具合に、左右で選り分けて吸い取っていく。何がヨクて、何がワルイのか、その判断基準はボクにはよく分からないけれど。 とにかく、この象がボクの夢をみんな食べちゃうせいで、ボクには自分の夢の記憶というモノがさっぱりと、無い。 ただ、たまに象の方でおなかが一杯になってしまったのか、それとも何処かが気に入らない夢だったのか分からないけれど、食べ残した分があると、その時だけはボクも夢を楽しむ事が出来るのだ。部分的にではあるけどね。 そして、その象はボクの頭の中を、のっしのっしと歩き回り、時折、ぼったんこ、ぼったんこと、夢の残骸のでっかいウンチを落として行く。そこら中に。 そして象の上には何故か、頭に黄色いターバンを巻いた、肌の浅黒いオジサンが右手には短いムチを持ち、左手ではフリルのついた黒い日除け傘を差しながら、アグラをかいて座っていた。 このオジサンが何の為にそこに座っているのか、ボクにはさっぱり理解できなかった。 でも、居た。 あー、今夜もそのピンクの象は、ボクの頭の中を歩き廻るのだ。 のっしのっし。 オジサンも乗って。 |